川崎新堤 × 黒鯛釣記


東京湾川崎港の沖に佇む川崎新堤は

多くの黒鯛師が

海中に鈍く光る精悍な黒鯛を

追い求めて通いつめる

全長3.5kmの沖堤防だ。


川崎新堤への釣行は

川崎市街から少し離れた

工業地帯の奥にある

長八丸という渡船で海を渡る。


定刻に船宿付近の桟橋から

船に乗り込み

工場が乱立する運河をすり抜ければ

目的地、川崎新堤が

静寂な凪の中に見えてくる。


この沖堤防は一番から六番までの

船着き場があり

黒鯛師が多く集うのが五番。


ここを拠点とした川崎新堤は

我々黒鯛師が

好敵手である黒鯛との掛け引きを

一年中繰り広げる最高の舞台だ。


川崎新堤へ集まる黒鯛師は

器が大きくて懐が深い

皆良い人たちばかり。


それはきっと

先人の黒鯛師たちが

この長大な沖堤で長年育んで来た

東京湾の歴史なんだと思う。


だから

釣れても釣れなくてもここに来る。

楽しい釣りが出来る。

ここはそんな場所。